灰の森通信

二三川練の感想ブログ

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌連作「頬」

頬 二三川練 教室を落ちる夕陽にてらされて骨の身体をあばかれている 足跡をなぞっていけばずれてゆく水平線が身体に充ちる そうやってきみはなんにん殺したの 詩人が孤児を見つめるように 聞こえないようにつぶやく欲望のあなたの自我に蜘蛛の巣を張る 木々…

短歌連作「あなた」

あなた 二三川練 ビル群でころがりながらおちてゆく月にわたしの落書きがある 人間っていいなをうたう人間の親子がくぐる石の鳥居を 泣きながらバットを振って走りさるあなたの脚に向日葵の痣 自惚れのまぶしい木々を描いてゆく絵描きの指は油にぬれて 喘息…