灰の森通信

二三川練の感想ブログ

短歌連作「あなた」

あなた   二三川練

 

ビル群でころがりながらおちてゆく月にわたしの落書きがある

 

人間っていいなをうたう人間の親子がくぐる石の鳥居を

 

泣きながらバットを振って走りさるあなたの脚に向日葵の痣

 

自惚れのまぶしい木々を描いてゆく絵描きの指は油にぬれて

 

喘息のごとくにつづく読点の私小説にもいないわたしは